おもしろコラム5月号
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働き始めるためだ。これは良いニュースだと喜んでいる輩が少なからずいる筈だ。実は私もその一人で、怠惰な自由人がいてこそ社会がうまくいくと思っている。労働生産性の分野で標準作業時間というのがある。標準作業時間は作業標準時間と準備標準時間からなり、作業標準時間は正味作業時間と余裕時間からなる。さらに余裕時間を分類すると作業余裕、職場余裕、用達余裕(汗ぬぐい、水飲み、用便)、疲れ余裕(休憩)となる。すなわち、余裕時間はサボりの時間ではなく時折休んだ方が、全体の作業生産性はむしろ上がるという概念だ。スマホやパソコンを長時間使い続けている人が多いが、時々目を離して遠くを見るなどしたほうがいい。最近は、階下にものを取りに行くと、何を取りに来たのか忘れて戻ることが多々ある。ボケが進んだのかとマイナスに考えていたが、これからは、忘れることも無駄ではないのだとプラス思考で行くことにした。学問などでも同じことで、最近は、実利的な研究だけがもてはやされている傾向があるが、哲学や文学など、一見役に立たないようなものが、本当はとても社会にとって役立っている筈だ。100年後500年後に役立つかもしれない地道な基礎研究も大切ではある。        (ジャーナリスト         井上勝彦絵:そねたあゆみ)201605/-    令和元年5月号-153

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