おもしろコラム5月号
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ていく。江戸時代に流行した絵草子の影響もあり、金太郎の人形を飾ることも多く、強い男の子の象徴として人気があった。忘れてはならないのが、菖蒲湯だ。菖蒲の葉を浮かべた風呂につかり、厄をはらう。菖蒲は強い薬効があり、解毒消毒作用、神経の緩和、血行促進という効き目がある。最初は酒に葉を漬け込んだものを口にしていたらしいが、風呂に入る習慣が出来た時期から、菖蒲湯はメジャーに成っていった。表で泥んこになって遊び、擦り傷や切り傷の多い男の子が入るお風呂として、とてもいい湯だ。儀礼行事には、先人の知恵が詰まっていて、単なる飾りではなく、願いが込められていることを覚えておきたい。   文:講談師         風の香り 「薫風のみぎり-」、「風薫る清清しい季節となり-」と5月の時候の挨拶には、新緑のこの季節に吹く爽やかな風の事を「風が薫る」と表現する慣用句が使われます。しかし本当にこの時季の風に香りがあるのをご存知でしたか?樹木は太陽の光エネルギーを利用して光合成を行い、炭酸ガスと水を取り込んで酸素を放出します。更に夏が近付くと「フィトンチッド」と呼ばれる芳香性のある物質を盛んに作りだし発散するのですが、実はこの物質こそが「薫 (/- 旭堂花鱗絵:吉田たつちか) 201105    5月号-16  

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