おもしろコラム8月号2024
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     芸で飯が食えるということの定理以前、人気お笑い芸人のぐっつぁんこと、山口智充さんが、素人時代に、スナックのカラオケで北島三郎さんの物まねをして歌ったら、向こうに座っていた強面のおじさんたちから大喝采の挙句、ボトルが差し入れられてきた・・・という話をしておられました。この話を聞いて、なるほど、一芸で飯を食っていくということが出来る人というのは、こういう人のことを言うん    8月号-100  だろうな・・・と。そして、ここにこそ、興業というものの本来的な姿、つまり、本質があるような気がします。世の中、単に歌や物まねが上手い人なら掃いて捨てるほどいますよ。100点満点の100点かもしれない・・。しかし、それで飯が食っていける人というのは、それ以上の何か・・・、魚が、海底から、一気に浮き上がって海面すれすれまで行けるのを100点だとしたら一瞬でも海面を突き抜けて、水がない世界でひるがえって見せることができるような・・・、つまり、120点がとれる者こそが一芸で飯を食って行くということを為し得る者だと思うのです。そういう人の芸域に、初めて、人は金を払って見に来る・・・と。そのことを、上述の北島三郎さんは、「僕の兄弟は皆、歌がうまい。しかし、歌で飯が食えるのは、僕だけ」と言ったといいます。そのことは、同様に、明石家さんまさんは、芸人辞めて東京の喫茶店でアルバイトをしていた頃、「おもろい兄ちゃんがおる!」ということでさんまさん目当てに来る客が激増し、店の売り上げが飛躍的に伸び、店のマスターから給料を上げるから残って欲しいと言われたといいますし、島田紳助さんは、芸人辞めてキャバレーの支配人をしていた       

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