私たちがいまもよく食べている南蛮菓子です。古来、日本には魚を油で揚げる料理法がなかったのですが、これも南蛮人から伝わったもので、さらに油で揚げた魚を酢に漬けたものを「南蛮漬け」といいます。「南蛮漬け」は明らかにマリネの一種ですね。また油で炒めたり揚げて煮た料理を「南蛮煮」といいます。南蛮には、他にネギや唐辛子を使った料理を指す場合もあります。じゃあ、カレー南蛮は南蛮人が伝えたのかって聞かれそうですね。カレーは明治になってから、イギリスから伝わった料理。そのカレーをそばにかけたものがカレー南蛮。カレーは香辛料たっぷりなエスニック料理で唐辛子も入っていますし、さらにネギも入っているところから「カレー南蛮」と呼ばれるようになったようです。ネギや唐辛子を南蛮と呼ぶのは、一説によると南蛮人がネギを好んだためという説があります。また他の説としては、大阪の難波がネギの名産であったことから、ネギのことをなんばんと呼ぶようになり、やがて南蛮と表記されたという説もあります。そして唐辛子は、南蛮人がヨーロッパから持ってきた香辛料。「 カレー南蛮」は、明治時代になって生まれた比較的新しい「南蛮料理」だったのですね。 (食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ)絵:そねたあゆみ)201508/- ●ではカレー南蛮は南蛮人が伝えたの? 8月号-52
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