おもしろコラム8月号2024
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毒されていることは、今や常識として誰もが知っています。しかし、消毒という概念が生まれたのは、実際にはたっ    8月号-82  た二百年前のことなのです。消毒法を確立したのはジョゼフ・リスターというイギリスの外科医でした。リスターは「手術後の傷の化膿の原因は細菌による汚染である」と考え、手術部位や手術用具をアルコールの一種であるフェノールで消毒することにしました。また、部下の医師に手の消毒や手袋の着用を命じたのもリスターの発案です。消毒の元に手術を受けた患者は化膿しにくく、なおかつ治癒も早いことをリスターは示しました。同時代のイギリスではあのナイチンゲールが新鮮な空気や清潔な環境の重要性を説いていましたが、当時の医学界では手術後の化膿は回復の過程だと考えられていま     消毒法の確立とうがい薬医療ドラマなどで手術シーンを見ることがあるでしょう。医師らは大抵の場合、清潔な手術衣に身を包み、手先が汚染されないようにあの独特のポーズをとっています。看護師から医師に手渡されるメスなどの手術用具が完全に消   

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