おもしろコラム8月号2024
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···この仕打ちに、広岡はあまりの悔しさに独り、ホテルのベッドで男泣きに泣いたと言います。その後、川上は巨人の監督として、9年連続日本一という前人未踏の遺業を成し遂げ、それと入れ替わるように、広岡は監督としてヤクルトを初優勝に導き、その後、西武を常勝チームへと導きます。これほどの二人でありながら、その確執の原因となったのが、広岡の「友達」のような勘違いだったのですから、まったく笑えない話です。でも、これは、有り得ない話のようで、結構、ありがちな話なのです。広岡という人間は、大先輩に対して平気でショートバウンドのボールを投げるような人間ですし、一方の川上もチームの打撃練習の時間を一人で使いきったとか、ゴルフで後の組がどれほど詰まっていようと、平気で自分のボールが見つかるまで探した通の尺度で測れる人間同士じゃなかったのですから、さもありなんと・・・。このときの「神様」川上の心中は察するに余りあるものがあったのではないでしょうか。     (文:小説家 などという逸話がある人物で、言うならば、似たもの同士だったのでしょうが、そういう普池田平太郎絵:吉田たつちか)200708/-   8月号-99

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