おもしろコラム 巨椋 修
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がイメージするパンはやはり西洋のパンでしょう。ところで『パン』という単語。英語由来の言葉ではありません。英語でパンは「ブレッド」ですから。実は「パン」という発音はポルトガルやスペインといったラテン系の言葉。戦国時代、多くの宣教師や商売人がポルトガルやスペインがやってきて、パンも作っていたようなのですが、日本には根付きませんでした。日本人はパンよりもやはりお米のゴハンだったのでしょう。明治になって欧米の文化が怒涛のごとく流れ込んできますが、いまのように食事として一般に食べるようになったのは太平洋戦争後といっていいでしょう。  欧米では主食という考え方はないと言われますが、やはりパンは食事の中心。ブレット&バター(パンとバター)という言葉は「生活のための仕事」という意味。コンパニオンとは宴会や旅行の付添人という意味ですが、語源的には「一緒にパンを食べる仲間」という意味。カンパニー(会社)もコンパニオンと同じで「一緒にパンを分かち合う仲間」という意味が語源。フランス革命では主婦たちが「パンをよこせ」とベルサイユに行進デモをしましたが、これは日本でいうところの米騒動。ロシアではいまでも大切なお客様がきたとき、丸いパンと塩で歓待します。そして一緒に食事をするのはお互いに仲間であるという証し。日本でいうところの同じ釜の飯を食べた仲間というのと一緒。欧米においてパンは、日本におけるコメ同様、やはり特別な食べ物なのですね。欧米におけるパン101         

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