おもしろコラム 巨椋 修
120/318

食材に国境なし       2020年4月6日現在、世界中に広まっている新型コロナウィルスですが、この文章を皆様がお読みになる頃はどうなっているのでしょうか?病気に国境がないように、料理や食材にも国境はありません。例えばジャガイモ。ジャガイモの原産地は南米のアンデス山脈です。ジャガイモがヨーロッパに伝わったのは15~16世紀の大航海時代、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を発見し、ジャガイモをはじめトウモロコシ、サツマイモ、トマト、カボチャ、トウガラシと様々な作物がヨーロッパに運ばれ、ヨーロッパから全世界に広まりました。ジャガイモがヨーロッパに運ばれたのが、16世紀の後半ごろとされていて、ヨーロッパから日本に運ばれたのも、慶長3年(1598年)つまり16世紀末にオランダ人が長崎に持ち込んだのが最初、つまりほとんど間をおかずに世界中に広まったことがわかります。ちょっと面白いのが、同時期に中国から入ってきたと言われるサツマイモ(ジャガイモと同じくサツマイモも南米が原産)が薩摩(鹿児島)など南国で栽培されたのに対して、ジャガイモは寒冷地に広まりました。ただしヨーロッパにおいてジャガイモはゴツゴツした容姿や芽や葉に毒があることから、食用として普及するのは食材は世界に伝播する119   ん  18世紀後半であり、日本での普及は飢き饉きなどの救済食品としてでした。

元のページ  ../index.html#120

このブックを見る