おもしろコラム 巨椋 修
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当時の日本人にとって、西洋料理は憧れのもの。庶民には手が届きません。そこで西洋料理を日本風に改良したトンカツやコロッケ、カレーライスが大衆食堂に出るようになります。トンカツといっても、ペラペラの薄い肉に衣をつけたもの。コロッケの中に入れるミンチは内臓肉と、現在のものと比べれば粗末なものでしたが、当時の庶民にとってはそれでも特別なものでした。洋食が広まるということは、洋食にともなってソース、ケチャップ、マヨネーズといった洋食用の調味料も広まることになります。  いまみなさんのお宅での食卓はキッチンでのテーブルでしょうか? ちゃぶ台でしょうか? ぶ台でもありませんでした。一人ひとりがそれぞれのお膳ぜを使って食事をしていたのです。一人ひとりが個人用のお膳で食事をするという日本独特の伝統食文化は、いまでは旅館くらいでしか見られません。この伝統食文化を一気に吹き飛ばしたのが、関東大震災でした。ちゃぶ台のちゃぶとは漢字で書くと「卓袱」、別の読み方をすると「しっぽく」実は日本では食事をするときテーブルはもちろん、ちゃ居間でちゃぶ台の普及130  ん    

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