おもしろコラム 巨椋 修
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いな」と思ったものです。と、いうことで、日本人と牛乳について述べてみましょう。日本における牛乳の記録は、飛鳥時代、智ち聡そという渡来人が持ってきた医薬書に牛乳の薬効、ウシの飼育法などが記載されていたのがはじまりです。またこの時代、孝徳天皇は「牛乳は体を良くする薬である」と喜んで飲んだといいます。平安時代には典て薬や寮りうの付属機関として乳牛院ができ、酪農は全国に広まっていきました。乳製品は薬用として貴族の世界で重宝され。「蘇そ」と言われるチーズに似た乳製品を税として納める制度もありました。平安時代の貴族は、案外牛乳や乳製品を食べていたのですね。しかし時代が貴族から武士の時代になると、軍馬を育てることが多くなってきたため、牛乳の記録は消えていきます。他にも仏教の普及による肉食の禁止や「牛の血(牛乳)を飲むと穢けれる」とか「牛乳を飲むと牛になる」という迷信が定着していきます。戦国時代、ジアン・クラッセという宣教師が著書「日本西教史」の中でも、『(日本人は)牛乳を飲むことは、生血を吸うようだと言って用いない』とも記しています。牛乳はずいぶん日本人132  が  ょくん  う

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