おもしろコラム 巨椋 修
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もしかしたら、鉄板がない時代でも、熱くなった石の上で目玉焼きを焼いていたなんていうこともあったかも知れませんね。日本においての目玉焼きの歴史は、明治時代になってから欧米から入ってきたと思われます。理由は簡単で、江戸時代以前には、フライパンのような鉄の板を使う料理道具があまりなかったから。日本において鉄の板を使った料理が、まったくなかったわけじゃありません。例えば「すき焼き」のはじまりは農具の「鋤」を鉄板代わりにして肉や野菜を焼いたのが始まりだったりするし、鉄鍋なんかもありました。だからそういった道具で目玉焼きを作って食べた日本人はいたかも知れない。ただ、記録に残っていないようなんです。少なくとも、わたしが調べた限りみたことはありません。歴史とは記録と記憶だから、残ってないものは証明できないので、実のところはなんともいえません。江戸時代、日本人はほとんど肉を食べなかったから、卵は貴重なタンパク源だった。だから、いろいろな卵料理が開発されて「卵百珍」なんていう卵料理を百種類以上紹介した本まであるんだけど、目玉焼きに類する料理は出ていないようなのです。よって、明治以降、西洋料理の一つとして欧米から入ってきた料理と考えていいでしょう。そして庶民が自分たちで作って食べるようになったのは、戦後一般家庭にフライパンが普及してからだったりします。  偉大なりフライパン!13     

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