おもしろコラム 巨椋 修
141/318

高の調味料として縄文弥生の時代から好んでいたそうです。その頃にはまだ鰹節はなく、おそらく干した鰹を使っていたことでしょう。やがて室町時代になると、現在の鰹節に近いものが出てきて、さらにいまの鰹節ができたのが江戸時代。紀州(和歌山)の甚太郎という人が、鰹の水分を抜くために燻製にするという方法を考えたといいます。  カビって嫌ですよね。食べ物にカビが生えてきたら「もう食べられない」と捨てるのが普通。でもカビって食べ物を美味しくしてくれることもあるんです。その一例が、ブルーチーズケーキ。ブルーチーズはチーズの内側に青カビを繁殖させて熟成させます。それで独特の美味しさが生まれるわけですが、まあ慣れていない人は、それが苦手という人も多いかと思います。鰹節もわざとカビをつけて味わいを増すようにします。それには理由があって、江戸時代、和歌山や四国の土佐で作られた鰹節は、まず船で大阪に集められ、それが船で江戸へと運ばれるのですが、その途中どうしても鰹節にカビが生えてしまうのです。ところが、カビが生えた鰹節の方が、魚臭さが消え、旨味が増すことに気付き、やがてわざとカビをつけるようになったそうなちなみに大阪ではカビ付けを付けないか一回だけ付ける荒節、江戸では数回カビを付け本節が好まれます。荒節は香りが強く存在感があります。一方、カビ付けをした本節は、 上品な味といっていいでしょう。どちらを好むかは人それぞれ。機会があれば、味比べをしてみても面白いかも知れませんね。鰹節とカビ140      

元のページ  ../index.html#141

このブックを見る