おもしろコラム 巨椋 修
143/318

 ん     んう   中国料理の謎       ふとテレビを観ていると、羊よ羹かで有名なある和菓子店が、建て替えのためしばらく休業というニュースをやっていました。そのときふと「ようかんのことを、なぜ羊の羹(あつもの)って書くのか知らない人も多いだろうなあ」と思い、そこからようかんや中国料理の歴史について書こうと思いつきました。ようかんは、平安時代の終わりぐらいに、中国から入ってきたとされているのですが、あいにく当時の日本は仏教の影響で、肉をおおっぴらに食べなくなっていました。さらに日本には、羊を飼って食べるという風習もありませんでした。そして当時、美食をリードしていたのは、お寺の精進料理。精進料理はお坊さんが食べるために開発された料理ですから、当然お肉は含まれません。そのかわり、当時のお坊さんたちは、お肉の代わりになるものを作り上げます。その例が『がんもどき』。これは鳥の鳫がのもどき料理です。「もどき」とは、似ているけど偽物という意味。羊羹は、羊のスープを作るときにできる「煮こごり」を真似て作ったようです。ようかんってなんで羊羹って書くの?142

元のページ  ../index.html#143

このブックを見る