おもしろコラム 巨椋 修
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 王 朝の時代に、豚肉が下等とされたのは、おそらく中国の漢民族は、4世紀の頃から、北方の遊牧民に支配されることが多く、宋王朝は漢民族の王朝ですが、金持ちが羊を好むのは、そういった遊牧民の影響があったと考えられます。  現代でこそ中華鍋で強い火力で作る炒め物が、中国料理の代表格となっていますが、炒め物は比較的近代になってから、中国の代表的料理法になったと言われています。ではなかったようです。と、いうことは、中国料理に炒め物が代表的存在になったのは、中国最後の王朝である清王朝以降のことであるようです。  中国4000年という言葉があるくらい長い歴史がある中国ですが、近年、中国の料理は大きく変化しました。例えば、エビチリソース、麻婆豆腐、担々麺といったピリ辛で有名な四川料理ですが、中国で食用唐辛子の栽培がはじまったのは18世紀から。麻婆豆腐は、100年ほど前に、陳麻婆と呼ばれるおばあさんが、作ったのが最初。エビのチリソースは、60年代、 陳健民(テレビによく出てくる中国料理人の陳健一さんのお尊父)という日本に移大昔の中国では、炒め物は一般的ではなかった日々変化する中国料理144   な ん で も明王朝の時代以前の料理書に「炒」という字が入った料理は、あまりなく、現在のように代表的な料理法      

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