おもしろコラム 巨椋 修
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日本生まれの中華料理 『冷やし中華』の謎       り住んだ中国料理人が、「乾焼蝦仁」(カンシャオシャーレン)を日本人向けにアレンジして作ったもので、昔の中国にケチャップなどないことからわかるように、明らかに現代料理です。中国の北方では、長く小麦とトウモロコシが主食でしたが、80年代以降の経済開放政策により、人々は米の摂取量が増えているとのこと。ちなみにトウモロコシは、大航海時代にコロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパに持ち帰ってから、いつの間にか中国に渡り、米の取れにくい中国北方の主食となっていたようです。大きな影響を与えたのは、20世紀末に長くイギリスに支配されていた香港が中国に返還されたときからで、欧米の影響を強く受けた香港料理が、中国全体でブームとなりました。そしてグローバル化した中国料理は、いまも日々変化していると言っていいでしょう。  暑い日に食べたい料理の一つに「冷やし中華」があります。この冷やし中華は日本生まれの日本料理って知ってました? そもそも中国の人たちは、元々冷たい料理を好まなかったという歴史があります。冷たい料理を好む日本、嫌う中国145

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