おもしろコラム 巨椋 修
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いまでも中国の人は「冷めたごはんは罪人が食べるもの」とか「日本人のお弁当は美味しそうだけど、どうして冷たいのを食べる気になるのかわからない」という人もいます。最近では中国にもコンビニがあり、日本のおにぎりは大人気とのことですが、最近までコンビニのおにぎりは温めるのが当たり前だったとか。(もっとも日本でも、沖縄や北海道では普通に温めるそうです)そんな中国ですから、冷たい麺など発想外だったようです。実は中国にも冷麺や涼麺という、アツアツではない麺料理はあるのですが、あまり水が良くないということもあって、直接冷水や氷で冷やす習慣がないため、日本の冷やし中華のように冷たくはなく一方、日本はというと、冷たいお刺身はもちろん、冷たいお弁当も学校や遠足では当たり前。冷たい漬物や、冷たいお浸しも大好きなお国柄。日本と中国は近くの国ですが、料理の好みは違うようです。日本の料理で、冷たいものの決定版といえば、日本の良質の水をふんだんにつかって冷やした、日本の伝統食である蕎麦やそうめん、冷や麦、冷たいうどんなんかがあります。こういった冷たい麺類を好んでいた日本人が、やがて冷やし中華を発明するのは、一種の宿命だったのかも知れませんね。  冷やし中華の誕生には、いろいろな説があります。その中でもっとも有力なのが、宮城県仙台市青葉区錦町で今も営業している「龍亭」の店主だった四倉義雄さんが考案したのが、最初という説です。“”       料理なのです。ぬるい冷やし中華の歴史146

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