おもしろコラム 巨椋 修
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当時は食糧難で日本人もろくに食べ物がなく、むしろゴボウは貴重品であり、一種のサービス精神でゴボウを捕虜の食事に出したそうなのですが、アメリカ人にはゴボウが木の根っこにしか見えず、「これは虐待である」とされ、日本人は5年の刑に処されたとか。食文化の違いが生んだ悲劇といえます。このゴボウも食物繊維ばかりで食べても消化しないで胃腸を通過するだけなので、栄養はほとんどありません。しかし、ゴボウもコンニャク同様腸内の水分を吸収しながら通過していくので、腸内をお掃除し、お通じを良くしてくれる効果があるのです。さらに食物繊維は、脂肪の分解やコレステロールの過剰を抑える効果があるそうですから、栄養はないのですが、体にとっては実にありがたい効果があるというわけです。  コンニャクやゴボウに限らず、他にも栄養がないけれど食物繊維が豊富で腸を掃除してくれる食べ物が我が国には多いようです。ゼンマイ、ワラビ、ツクシといった野草。他にもタケノコ、レンコン、ヘチマといったもの。日本人は栄養こそないけれど、お通じが良くなることを知っていてこれらの食べ物を好んで食べて来たようです。あと、これらの食べ物は食感が独特のものが多く、これらの食感が日本人に好まれたのでしょう。人間にも、一見役立たずと思われているけど、実はなくてはならない愛されキャラの人がいたり、影で社会をささえているような人がいますよね。一見、不必要と思われる人や物をいらないと切り捨てる社会はギスギスして住みにくい社会だと思います。日本に多い栄養がないけどありがたい食べ物168          

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