おもしろコラム 巨椋 修
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もっぱら闘鶏用で勝敗を占いなどに使っていたようなのです。平安時代になると、養鶏がはじまりますが、これも鶏肉を食べるためというより卵を摂るため。じゃあ日本人は焼き鳥を食べなかったかというとさにあらず。ニワトリではなく、もっぱらキジ、カモ、ツルやハクチョウといった野鳥を食べていたのです。江戸後期に書かれた料理本『万宝料理秘密箱』、別名「卵百珍」という本があるのですが、ご覧のとおり卵料理が103種類も載っているくらい江戸時代の人々は卵料理を愛したのですが……、鶏肉の料理は一種類だけ。それが「長崎鶏田楽」という料理。田楽ですから、串に刺しているわけです。まさに現在に繋がる焼き鳥の元祖かも知れませんね。  串焼きの焼き鳥はスズメの丸焼きという説もあります。スズメはイネを食べる害鳥ですから、網で一網打尽にして、串に刺しバリバリと丸かじりにします。現在でもスズメの焼き鳥を出すお店がありますが、スズメが年々減っており捕る人も少なくなっているためスズメ焼きもあまり出回らなくなっているそうです。実は日本人が好んでニワトリを食べるようなったのは江戸時代の終わり頃、幕末の英雄坂本龍馬が暗殺前に食べようとしたのがしゃも鍋。明治になって肉食が推奨されますが、ウシもブタも日本人はちょっと食べ慣れてない時代、鶏肉はまだ食べやすかったようです。でもニワトリはまだまだ高級。高かったんですね、そこで庶民、あるいは下層の人が食べたのがニワトリの内臓をかば焼きにしたものでした。焼き鳥の元祖はスズメ焼き?170       

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