おもしろコラム 巨椋 修
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べることができるようになります。当然、屋台やサラリーマンの憩いの場である焼き鳥屋でも安くニワトリの焼き鳥が食べることができるようになったのです。安かろう悪かろうと思われがちで、ときに悪評もたつブロイラーですが、安全基準も高いので安心して召し上がってほしいものです。  高級だったニワトリの焼き鳥が庶民のものになった後、日本はどんどん豊かになっていきます。それまで高級だったニワトリが庶民のものになったとき、日本経済はこれまでにないピークを迎えます。 80年代、日本がバブル景気を迎えようとするとき、地鶏ブームが起こります。「ブロイラーは嫌だ。本来のニワトリの味をある地鶏を食べたい」と庶民は思うようになります。各地の地鶏は有名になりました。しかしバブル崩壊。時代は昭和から平成に。庶民はバブルの時代のように浮かれることができなくなりましたが、地鶏はしっかり定着しています。しかしいま、また焼き鳥ブームがきています。居酒屋『鳥貴族』に代表される焼き鳥チェーン店の流行です。日本では、戦後まであまり親しまれていなかった鶏肉ですが、いまや庶民の味方。たんぱく質も豊富で、ビタミンBやAもたくさん含まれています。地鶏もブロイラーも体にとてもいいし美味しいものです。しかし……、そんな鶏肉を日本人は江戸時代の終わり頃まであまり食べなかったなんて、これも食文化の一つ。面白いですね。・駅弁は新橋ではじまった豊かな時代、地鶏に注目172      

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