おもしろコラム 巨椋 修
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この化学調味料なるものがふんだんに使われていて、 中国料理が世界に広まったのはこの化学調味料のおかげであり、一流店でも当たり前のようにこの調味料、つまりは『うま味調味料』を使っていて、世界の美食家が美味であると認めているのですから。でも、多くの美食家はその料理の美味のヒミツがうま味調味料であることは知らないのかも知れませんが……(苦笑) 「ある若い日本人が、中国料理の修業に本場中国のあるお店に住みこんでいた。そこの亭主の料理はたいそう美味しかったのであるが、日本人の若者がいかに努力してもその味にはかなわなかった。おそらく秘伝のタレなり味付けがあるのだろうと思っていたが、亭主は教えてくれない。そこでそれとなく亭主の調理姿を盗み観ていたところ、ある調味料をサッと入れているのを見つけた。若者は亭主の味を盗んでやろうと、後でこっそりその調味料を探すとあったのだ。その店秘伝の調味料『うま味調味料』が……」という話しが作られるくらい、中国ではうま味調味料が多用されています。もっと言えば「中国料理が世界に広まったのはうま味調味料があったおかで美味しくなったから」という話しが伝わっているくらいです。世界人口の5人に1人が中国人であるという巨大国である中国は世界中に移民がたくさんいて、あらゆる国に中華街がありましたがチャイナタウンで食事をする地元の人は少なかったのが、うま味調味料を一振りするだけでアラ不思議。たちまち外国人をも満足させる味に変身するではありませんか! 味料を使用するようになり、やがてあまりに大量に使うので『チャイニーズ・レストラン・シンドローム』などというありがたくない名称までもらうことになります。大量に使うようになったのは中国だけではありません。東南アジアなどもうま味調味料出現によって、ずいぶんと       その国の料理が美味しくなったという話しはよく聞きます。  中国系の料理人たちは大量にうま味調186

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