おもしろコラム 巨椋 修
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人類は、地球の生き物の中で、もっともコストが高い食べ物を食べて生きているといっていいでしょう。そんな我々人類のご先祖、つまり原始時代を生きた人類は何を食べて生きてきたのでしょう?  はるか昔、まだ我々のご先祖がサルに近く豊かな森林から草原に出てきたとき、ご先祖は飢えと戦わねばなりませんでした。なんといっても、森林と違い、草原にはこれまで食べていた木の実はそれほどありません。そこでご先祖は目に見える木の実ではなく、地中に埋まっている根菜類を探して食べるようになります。イモ類や地下茎と言われるダイコンやニンジンの原種を食べていたことでしょう。人類に近いチンパンジーは集団で狩りをして肉を好んで食べるのですが、足も腕力も牙もなく、動きの遅いご先祖は、小動物や虫などは食べていたでしょうが、大きな獲物は捕れません。もっぱら、他の肉食獣た倒した獲物の食べ残しをあさっていたようです。その食べ残しを食べるにも、肉を切り裂く牙がないご先祖は、砕いた石をナイフとして使い、食べるようになりました。骨の中にある骨髄も貴重な食糧。石器を使って骨を砕き、骨髄をすすっていたようです。また人類は火を利用するようになりました。これは、腐りかけの食べ物を安全に食べることができるうえ、固い食べ物を柔らかくして食べることで、動植物の栄養をより多く摂ることを可能にしました。道具を使って食べ物を食べる。火を利用して食べる。食文化の第一歩です。ご先祖は何でも食べることができたから生き残った204    

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