おもしろコラム 巨椋 修
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難の業。いかに人類が頭が良くても、天災にはかないません。いまでこそ人類は75億人もいて、かつてないほどこの地球に溢れんばかりですが、過去に二度全地球人口が1万人以下になるほどの絶滅の危機を経験しています。それは私たちが、現在生き残っている現生人類ホモサピエンスに進化して間もない19万年前。地球が氷期(氷河期)に入るのです。当時、ご先祖にしてまだ生まれて間もないホモサピエンスは、まだアフリカに住んでいました。氷期は豊かで緑の大地であったアフリカ大陸を、砂漠化していきました。アフリカ大陸で生き残ったご先祖ホモサピエンスは、南アフリカの海岸のみ。世界人口は1万人以下。絶滅寸前です。そのときご先祖を助けたのは【いじきたなさ】……、いいえ、他の生き物以上に多様な食べ物を食べることができたということです。南アフリカの遺跡には、これまでにない貝類を食べた跡があるといいます。次の絶滅危機は、約7万年前にインドネシア、スマトラ島にあるトバ火山が大噴火を起こして気候の寒冷化を引き起こしたときに人類は数千人にまで減少したといいます。そのときもご先祖が生き残れたのは、火の利用と【なんでも食べてやろう】という知的好奇心であったに違いありません。実はその時代、ご先祖ホモサピエンスとは別系統の人類、ネアンデルタール人は、ホモサピエンスと同等の知力があり道具も火も利用していて、なおかつホモサピエンスより腕力があったのですが、やがて絶滅してしまっています。ホモサピエンスとネアンデルタール人の違いは、ホモサピエンスがあらゆるものを食べていたのに対して、ネアンデルタール人はそれほど多くの種類を食べてはいなかったようなのです。好き嫌いはしてはいけないということかもしれませんね。206    

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