おもしろコラム 巨椋 修
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たら、その肉が無くなるまで次の狩猟に行かないという生活。大きな争いもなく、集団に身分差別もありませんでした。食糧は全員に平等に分配されていました。日々ストレスに苦しみながら、残業残業の現代人とどちらが豊かなのでしょう?  そんな縄文人たちは、どんなものを食べていたのでしょう? 海辺の人たちはマグロやカツオ、タイ、スズキ。川や池などではフナ、コイなど。いま国内で獲れる魚介で食べられるものは、ほぼ食べていたようです。全国各地に「貝塚」が残っているように、貝類も多く食べていたようです。食べていた貝の種類も豊富で、いろいろな貝類を食べていました。考えてみれば、現代人は、お店で買える限られえた種類の肉や魚貝類しか食べられないわけですから、ある意味確かに豊かであったのかも知れませんね。ちなみに貝殻は、穴を空けたりしてネックレスやイヤリングなど装飾品としても使われていました。南の地方でしか獲れないはずの貝の装飾品が北海道で見つかったりしていますので、これらは交易の品として使われたのではないかと考えられています。また、貝塚からは、貝を干した痕跡が見つかっているため、すでに魚貝の干物も食べていたようです。干物は、鮮魚に塩をまぶして作りますが、そうするとタンパク質の質が変わり、魚貝に弾力が出て風味も良くなります。縄文人も美味しい干物を食べていたんですね。 シカやイノシシなど60種類ほどの獣肉類。また干物は日持ちすることから、貝殻だけではなく干物も交狩猟採集民族、縄文人は何を食べていたのか?208          

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