おもしろコラム 巨椋 修
214/318

サンマは灯油用と肥料だった⁉江戸っ子はサンマを食べなかった?あくまで推測ですが、日本人独特の「口中調味」は、弥生人たちが発見・発明した食べ方なのではないでしょうか?日本は瑞穂の国、瑞穂とはみずみずしい稲穂のことで、日本人にとってコメは特別な食べ物であり、そのコメとおかずを美味しく食べる方法として、口中調味が生まれたのだと思うのです。       秋の味覚サンマ、いまこの原稿を書いている時点では、大変な不漁のため値段もお高めとか、将来は大衆魚から高級魚になるという噂もあります。江戸時代、サンマは好んで食べられていた魚ではありませんでした。落語に『目黒のさんま』という話しがあります。ストーリーは目黒に鷹狩りにきた殿様一行ですが、家来が弁当を忘れてしまった。お腹が空いたときに、何やら旨そうなにおいがする。殿様が家来に聞くと「あれはサンマという魚を焼くにおいです。殿様が食べたいといっても家来は「サンマは庶民が食べるものでお殿様のお口にいれるようなものではありません」と、食べるのを止めるのですが、殿様はどうしてもと持ってこさせ、食べてみると大そう美味しい。後日、もう一度食べたいと所望すると、家来は魚河岸に新鮮なサンマを買うのですが、料理の最中に脂をすっかり落とし、小骨まで省いて、せっかくのサンマを不味213     

元のページ  ../index.html#214

このブックを見る