おもしろコラム 巨椋 修
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明治時代に書かれて辞書にはサンマの項目に「賤民ノ食トス。」と書かれているくらいでした。落語の『目黒のさんま』が作られたのは、明治時代と言われていますが、その明治ですら「賤民の食」だったのです。人々がサンマを好むようになったのは、戦時中の食糧危機くらいからのようです。宮中においても、天皇陛下の食事にはじめてサンマが出るようになり、陛下がサンマを好まれたといわれています。  そんなサンマも、報道によると、サンマに漁獲量は年々減少しているようです。原因はいろいろあるようで、海水温度の変化や世界の日本食のブームもあり、これまでサンマをあまり食べなかった中国はじめ近隣諸国の人たちにも人気が出始め、サンマ漁をはじめるようになったなどなど。また、イワシの漁獲量も減っています。夏に皆さんが食べたかも知れないウナギは絶滅危惧種です。このまま漁獲量が減っていけば、それぞれの魚の値段はどんどん高くなり、庶民には手が届かない高級魚になるかも知れません。すでに【高級魚】になっているマグロやウナギは、養殖の方法が模索され、ある程度できるようになっていますが、サンマやイワシは養殖そのものも難しい魚だそうです。サンマやイワシといった海の食物連鎖の底辺を担っている魚が減っているということは、海の生態系を大きく変えてしまうかも知れません。同時にサンマを捕る漁師さんや水産会社の人たちを守るという意味でも、我々はサンマやイワシをいかに守るかを考えないといけない時期が来ているようです。やがて高級魚になる?215         

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