おもしろコラム 巨椋 修
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日本人と食パン       不思議に思ったことはありませんか? 「なぜ食パンは、ただのパンではなく【食】パンというのか?」 勘のいい方はお気づきかと思いますが、それは菓子パンがあるからです。日本においてパンは食事のためというより先に、お菓子としてのパンが普及しました。その第一号は、あんパン。作ったのは銀座木村屋(現・木村屋總本店)創業者、木村安兵衛・英三郎親子。木村屋のあんパンは、宮内庁御用達になるのですが、あんパンを明治天皇におすすめしたのが、幕末の剣豪で勝海舟の親友明治天皇の教育係をやっていた山岡鉄舟です。明治天皇はあんパンをたいそうお好みになりましたが、これがなければ日本のパンの歴史は変わっていたかもしれません。明治7年生まれのあんパンは、西洋からやってきたパンと日本の甘味が合わさったこの食べ物は、まさに文明開化・和洋折衷の明治を代表する作品といえるかも知れません。続く菓子パンは明治33年、やはり銀座木村屋三代目・儀四郎が発明しました。当時のジャムはイチコではなくアンズジャムだったそうな。明治37年には新宿中村屋の創業者シュークリームを発明と日本のパンは菓子パンから広まっていき、菓子パンの次なぜ食パンというのか?228      

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