おもしろコラム 巨椋 修
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す。なぜ農村かというと、戦前は雑穀やイモが主食だったのが、戦争中の配給制度でご飯ばかり食べ、おかずが少ない食事になっていたのです。そこでパンをすすめてみたら、忙しいときにカンタンに食べられると、意外にも好評だったといいます。また、日本人がパンを食べるようになる大きなキッカケだったのが、学校給食のコッペパン。戦後、GHQは学校給食をごはんとみそ汁でと考えていたようですが、それを日本側がパン食を望んだといいます。ちょっと意外な話ですが、理由は戦後の物資不足で、大勢いる児童生徒の人数分を炊く大鍋がない。コメもない。パンなら食器を洗う手間もいらない。パンの材料であるコムギならアメリカからの食量援助で手に入るというわけです。  総務省統計局が2012~2015年の1人当たりどの年代の人がもっともパンを購入したかというデータがあります。このデータによると、もっともたくさんパンを買っていたのが70代、次いで60代と50代、どうやら年齢が高くなるほどパンを買っているようで、当然、もっとも少なかったのが20代。いまの中高年は、子どもの頃に毎日学校給食を食べていた世代で、1976年から給食にご飯が導入。その後給食のご飯はどんどん増えていきました。いま日本人のご飯離れが問題となっているのですが、これは昔のようなご飯のドカ食いが減ったうえ、パンや麺類、おかずの充実が原因です。今後はご飯食が増えてパン食が減ってくる時代が来るのかも知れませんね。     いま一番パン好きな年代は中高年230      

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