おもしろコラム 巨椋 修
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本来、アルコールは猛毒なので、アルコールを分解できない我々のご先祖様は飢えて死んだり、酩酊したりしているところを猛獣に襲われてしまいますから、アルコールを分解できるご先祖様だけ生き残ったのではないかと言われています。チンパンジーなどはいまでも、発酵しているヤシの実の樹液を飲んで酔っ払ったり、あるいは何匹かで飲み会になっていることもあるといいます。しかしチンパンジーやゴリラは、お酒を飲むことはできても造ることはできない。しかし人類は果実や小麦を集めてきて発酵させると、お酒ができることを知り造るようになった。初期人類がお酒と出会うのは、チンパンジーとゴリラと一緒で、たまたま発酵している果実を見つけることだけであったことでしょう。しかしもっと飲みたい、いつも飲みたいと思った人類は、やがてコムギを植え、収穫、保存することで、一年中お酒を飲めるようにしたいと夢見た。人類は酔うために農耕をはじめ、食べるためはその副産物であった。あくまで仮説の一つですが、人類が農耕以前に酒造りをはじめたのは、かなり信ぴょう性があることのようです。 232     

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