おもしろコラム 巨椋 修
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  明治時代、カレーライスはレストランで人気料理になりましたがまだまだ家庭内で作られる料理ではありませんでした。それが一般家庭に広まるためには安価で美味しいカレー粉が必要。実際に身近で作る人々が、必要でした。それまでのカレー粉はイギリス製のC&B社のもの。舶来品で庶民にはちょっと手が出ない代物だったのです。それが明治の終わりごろから大正時代に国産のカレー粉が作られるようになります。いくらカレー粉が安価で手に入るようになっても、食というものは意外と保守的なもの誰かが目の前で作ってくれないと、なかなか新しい料理には手が出ないものです。それを一気に広めたのが、軍隊ではないかといわれています。明治37年、日露戦争勃発。そのとき陸軍海軍とも軍用食としてカレーライスが採用されました。戦争が終わったとき、カレーライスの作り方を覚えた兵士たちは、故郷に帰ると家族にカレーの作り方と美味しさを伝えたのです。特に海軍では、当時毎週土曜日にはカレーライスを出す習慣ができており、それがいまの時代では金曜日になっているのですが、いまやレトルト食品として『海軍カレー』の名称で人気商品となっているくらいです。大正時代になると、カレー粉も多くの会社が手がけるようになり、より手に入りやすいものとなりました。いまやカレーの具として必ずといってもいいほど入っているニンジン、ジャガイモ、タマネギも、このころにカレーに入るようになりました。これはシチューの影響であるようです。また、カレーうどんは明治の末に生まれており、カレーパンは昭和2年に誕生。カレーは着実に国民食への道を歩んでゆきます。第二次世界大戦中は、国中が食料不足となりましたが、カレーライスは相変わらず軍隊で食べられていました。  軍隊がカレーを広めた?23        

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