おもしろコラム 巨椋 修
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たくさんあり無料で手に入るものですから、ヒマのあるときに拾いに行き、適当な太さに割って軒下などに干して乾燥させます。しっかりと乾燥させておかないと、火がつきにくいうえ煙が出すぎてしまうのです。さきほど、煙は防虫になってお得と書きましたが、それは多少の煙のことであって、江戸時代以前の家屋には煙突の文化がありませんでしたので、煙が多いと相当に煙かったはずです。煙のために眼病にかかる人も多くいたといいますから、ここは囲炉裏の損得でいうと損なところと言えるでしょう。薪を拾いに行くのは年寄りや子どもの仕事です。むかしばなしに出てくる「おじいさんは山に柴し刈かりに」というのは薪拾いに行っていることで、決してゴルフ場の芝を刈りにいっているわけではありません。柴とは小さな雑木という意味です。小さな犬のことを柴犬といったがごとく、柴には小さいという意味もあります。ちなみにむかしばなしのおじいさんが山で柴や薪を拾っていたのは、自分の家のためだけではなく、他の家に柴や薪を売っていたと考えられています。田畑で働いたり力仕事ができなくなった老人は、そういった人の代わりに山で薪を拾うことで生計に役立てることができま271  ば 

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