おもしろコラム 巨椋 修
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個人用の箸と茶碗を分ける食文化した。労働力が不足している家では、一家総出で働かなくてはなりませんでした。そういったとき、独居老人や力仕事が出来なくなった老人は、薪拾いをして売ることでお得。労働力が不足している家にとって薪を売ってくれてお得というわけです。     日本の食文化のおもしろいところとして、箸はや茶碗といった食器類が家族でも全員個人用のものがあるというのがあります。あまりにもこれが常識になっているので「え?」と、思う人もいるかも知れませんが、欧米にせよ中国にせよ「これはおじいちゃんのお箸、これはお母さんのお箸、これはぼくのお箸」と、個人のお箸や茶碗が決まっているという文化は、まず日本以外ではないでしょう。せいぜい大人用と子ども用が別れている程度。アメリカやヨーロッパではナイフやフォークに対して「これはおじいちゃんのやつ。これはお母さんの」と、区別することはありませんし、お皿もしかり。作家である井沢元彦さんの『穢けれと茶碗』(祥伝社)によると日本人はたとえ家族が使ったお箸や茶碗でも、自分 が    し 272

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