おもしろコラム 巨椋 修
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ヨーロッパでは、カトリックのフランスやイタリアにみられるように、美食な国が多いのに対して、プロテスタントのドイツやイギリスは質素な食事で知られています。そんな人たちが最初にアメリカに来たとき、それでなくてもまだ開拓されていないアメリカ大陸で質素な生活をし「神が与えてくださった食べ物に文句をいってはならない」という信仰心があったのです。またアメリカといえば合理主義の国。食べ物は楽しむものというより栄養をとるものという考えから、味より栄養。そのためサプリメント大国になっています。  それでも昔のアメリカの食卓は豊かであったようで、ウサギや七面鳥をハンティングして食べたり、農業大国であるアメリカでは多くの野菜も栽培されています。そんなアメリカの家庭料理に大きな影響を与えたのが『食の合理化』。日持ちがよくて手早くさっと食べられる缶詰料理が発達します。例えば皆さんもご存じのアメリカのアニメ『ポパイ』はホウレンソウを食べると力が出るのですが、ポパイが食べるのは缶詰のホウレンソウです。日本ではちょっと缶詰のホウレンソウは考えられないですね。さらに冷凍技術が発達。これも簡単に料理できてお手軽です。アメリカで生まれたコーン・フレークなどのシリアル食品。これもピューリタンたちが白パンや肉食を不健全と考え、科学的に栄養のある食べ物として開発されました。そしてハンバーガーやホットドックのようなファストフード(手軽さっと食べられる食事)。お手軽にさっと栄養補給できればそれでいいやというアメリカの合理主義を垣間見るようですね。缶詰、冷凍、ファストフード305        

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