おもしろコラム 巨椋 修
309/318

  江戸時代の日本人にとって、肉は薬として食べられていました。タンパク質のほとんどを米と大豆、わずかな魚で摂っていた昔の日本人にとって、肉は滋養強壮の薬同然だったのです。玉子もそうです。いまの値段だと一個400円ほどもした玉子は贅沢品、病気のときなどに精を付けるために食べていました。玉子には上質のタンパク質にビタミン、ミネラルも入っている完全食なので、下手な健康サプリよりはるかに効果的。現代人でも一日一個は食べたいところです。江戸では、白米が中心でおかずはほとんどありませんでした。そのためビタミンB1欠乏症である脚気という病気で亡くなる人がたくさんいました。玄米にはビタミンB1が含まれているのですが、精製した白米にはビタミンB1には含まれません。そのため脚気になるのです。江戸の人たちは脚気予防のために好んで蕎麦を食べたといいます。蕎麦にはビタミンB1がたっぷり含まれていたからです。まだビタミンの存在はわかっていませんでしたが、江戸っ子たちは経験上で知っていたのでしょう。また、たくあん漬けにもたくさんのビタミンB1が含まれており、これも脚気予防として好んで食べられていたようです。また、体が冷えたら生姜湯を飲んだり、逆に暑い夏にはキュウリやナスといった体を冷やす効果があると言われているキュウリやナスを食べて、健康に過ごそうとしていたようです。健康と食308      

元のページ  ../index.html#309

このブックを見る