おもしろコラム 巨椋 修
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他にも「しゃぶしゃぶ鍋」は、昭和27年に大阪のスエヒロという店が開発した比較的歴史の浅い料理です。そしてこの「しゃぶしゃぶ」にそっくりなのが、タイ国の名物「タイスキ」ですが、これはタイの伝統料理ではなく、日本人観光客向けに開発された料理のようで「タイスキ」のす「スキ」は、日本の世界的ヒット曲、坂本九さんの「上を向いて歩こう」の英語名タイトルが「スキヤキ」であったことが「タイスキ」命名の由来です。また、北海道の「ジンギスカン鍋」は、鍋というより鉄板焼きですが、これも昭和になってから生まれたもので、モンゴル料理とはまったく関係ありません。もちろん「昔、英雄ジンギスカン率いる蒙古軍が、自分たちのヘルメットを利用して羊の肉を焼いたのが、いまのジンギスカン鍋の発祥」というのも、一種の都市伝説。そんなことは一切ございません。どうやらあのヘルメット型の鉄板は、羊の油を落とすために作られたもののようで、あのカタチから蒙古軍の兜を想像できるため、そのような説が生まれたのではないでしょうか? 開発した人が、最初から蒙古軍をイメージして作ったのかも知れません。第一次世界大戦後に羊毛が不足したとき、日本政府は羊を飼うように奨励します。次に羊の肉を食肉にも……、と、考えたようなのですが、ご存知のごとく羊の肉というのは大変臭いがキツいもので、日本人にはあまり馴染みませんでした。そこで臭いを消すようなタレなども開発され現代のジンギスカン鍋になっあるいは、あの奇妙なヘルメット型鉄板を37        

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