おもしろコラム 巨椋 修
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      ソースの材料がなかったということはあるかも知れません。先ほど海軍が広めた料理にカレーライスがあると述べましたが、この肉じゃがの材料とカレーの材料って、お肉、じゃがいも、ニンジン、タマネギなどかなりの部分で共通するんです。このカレーの材料をひと工夫してできたのが肉じゃがだったのかも知れませんね。  ドイツのハンブルグを英語読みするとハンバーグになります。このことから、ハンバーグステーキはドイツのハンブルグで生まれたステーキだと思っている人がたくさんいるようです。ところが、元々ハンブルグにハンバーグステーキなどという食べ物はなかったんです。じゃあ、どうやってハンバーグが生まれたかというと、19世紀末、ヨーロッパから200万人以上の人々がアメリカに移住しました。そのなかにはたくさんのハンブルグ出身のドイツ人がいたのですが、彼らが食べていたのがミンチを焼いて作ったステーキだったのです。ミンチといえば聞こえはいいのですが、ようはクズ肉。移民というのはいつの時代でも貧しい人が多く、貧しいドイツ系の人たちがクズ肉にひと工夫して作ったものがやがてハンブルグステーキ、ハンバーグステーキと呼ばれるようになったのです。  太古の昔、日本人は普通に肉食をしており、時には牛を食べることもあったのですが、仏教が伝来してから肉食をハンブルグにはなかったハンバーグステーキ神戸牛がおいしいと評判になったワケ40

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