おもしろコラム 巨椋 修
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庶民も楽しんだ会席料理あまりしなくなり、江戸時代になると、イノシシやシカ、ウサギといった肉は、薬喰いと称して食べていましたが、牛は荷物の運搬やトラクターの代わりとして飼われてはいましたが、食べることはしませんでした。それが明治になり海外との交流が再開されると、日本人も徐々に牛肉をたべるようになりました。そんな明治時代、神戸牛は日本にやってくる外国人たちに「美味しい」と評判となったのです。神戸といえば港町。はるばる海外からやってきた外国の人たちは、神戸に上陸して神戸の牛に舌鼓を打った…… 神戸で神戸牛を食べていたわけではないのです。え? じゃあどこで食べていたかですって?実は横浜なんです。お肉っていうのは、牛をツブしてすぐに食べたりすると、硬くて味も悪くて、全然美味しくないんです。ときどき「新鮮なお肉は美味しい」なんて思っている人がいるかも知れませんけど、それは大間違い。牛肉は、ツブしてから数日~2ヶ月くらい熟成させてから食べると、肉が美味しくなるのです。つまり神戸牛が評判になったのは、神戸でツブした牛肉が船便で横浜に運ばれていくうちに熟成され、ちょうどいいときに外国の人たちが食べて大評判になったというわけなのです。それにしても、食べ物の歴史っておもしろいものですねえ。     日本料理を代表するものに、『会席料理』いうものがあります。『本膳料理』の流れを汲むもので、『懐石料理』が、茶を楽しむための質素なものであるのに対して『会席料理』は酒を楽しむものですから、宴席や饗応に使われた豪華なものになります。わけではありません。外国のみなさんは、41   

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