おもしろコラム 巨椋 修
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ジャガイモと飢饉の歴史     トウモロコシと同じく、歴史を変えた食材として『ジャガイモ』があります。ジャガイモは南米のアンデス山脈あたりが原産地といわれていて、中南米を侵略したスペインからヨーロッパへ伝わったと言われています。トウモロコシが世界「三大」穀物と言われていますが、さらにジャガイモも加えて世界「四大」穀物とも言われているくらい全世界で食べられるようになりました。ただし、ヨーロッパに伝わった当初は、あまり良く思われていなかったらしく、ヨーロッパで食用として定着したのは18世紀になってからでした。その理由は、ジャガイモの姿がそれまでのヨーロッパにはない醜いものと映ったためとも、ジャガイモの芽には毒があるため、あるいは聖書に出ていない食べ物だからとも言われています。日本にも17世紀には日本に入ってきており、食べられてはいましたが、それほど定着はせず、日本人の食卓に当たり前のように出るようになったのは明治以後のことです。そんなジャガイモですが、芋の切れ箸を「種芋」として土に埋めておくだけで、荒地でも育ってくれるものですからありがたいもの。トウモロコシと同じように「貧民の食べ物」として、ヨーロッパに広がっていきます。なんといってもジャガイモは、栄養豊富。カンタンに栽培できる。地面の中で育つので、鳥についばまれる被害もない。ジャガイモはヨーロッパ人を飢餓から救い、また、ジャガイモを食べることで、ヨーロッパ人は飢え死にせず、次々55        

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