おもしろコラム 巨椋 修
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            ただ、経済的には大変だったようで、豪華なものを食べていたわけではありません。むしろ大変質素であったようです。天皇家は明治以降、日本の大財閥である三井、三菱、住友、安田の4大財閥を合わせた資産よりもはるかに多い世界有数の大資産家になります。それでも江戸時代からの伝統で、食事は質素なものでした。これは天皇家に限らず、江戸時代に大大名であった家が、明治維新後、華族になるような家柄でも、やはり質素であったといいます。日々、我が国において、毎日豪華な食事をするのは成り上がり者ということなんでしょうね。太平洋戦争中、日本は深刻な食糧難でした。そんな時代、それまで皇室ではイワシやサンマ、サバのような大衆魚が食卓に上ることはなかったのですが、この食糧難の時代、そういった大衆魚も天皇家の食卓に出されるようになります。理由としては、たんに食糧難であっただけではなく、昭和天皇ご自身が闇市で食料を買うことを禁じたためであったといいます。昭和天皇はどんなものを食べていたのか?70    

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