おもしろコラム 巨椋 修
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そして昭和天皇は、イワシやサンマ、サバのような大衆魚を大変気に入っていました。ちなみに昭和天皇の好物は『鰻のかば焼き』で、ある記録によると昭和59年に鰻の蒲焼を食べた回数は22回に対して、サバの味噌煮は12回あったといいます。戦後の食糧難のときは、毎日ムギメシであり、これは晩年まで続きました。またパンはというと、小麦粉に大豆粉、トウモロコシ粉、干し草粉やドングリ粉を混ぜた質素なもの。これは一度白いパンがでたときに「国民に対して忍びないから」と、混ぜ物のパンを求められたらだそうです。昭和天皇のお人柄がわかるエピソードですね。和食担当として、宮内庁の厨房に、26年間務めた谷部金次郎氏によると、朝はオートミールかコーンフレーク、昼と夜は、どちらかが和食か洋食。チャーハンや餃子といったものも食卓に並びました。お米を炊く水も水道水であったそうです。  昭和天皇も、ごはんはムギメシ。その米も特別なものではなく地元のお米屋さんから標準米を購入して食べておられるとか。魚も高級魚が出されることは滅多になく、むしろアジ、サバ、サンマといった大衆魚が中心。肉や野菜、乳製品などは、宮内庁が管理している栃木県の御料牧場で作ったものを食べておられるそうです。御料牧場以外は意外と質素ですね、もしかしたら我々庶民のほうが豪華な料理を食べているのかも知れません。昭和天皇は外出されたり、ご公務で旅行をするとき、カレーライスを注文することは有名です。昭和天皇のお食事は?71            

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