おもしろコラム 巨椋 修
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    『ミートハンガー』という言葉があります。『肉の飢え』という意味。世界の食文化や食の歴史を調べていくと、どうも人類は食肉というものに、特別な関心がある動物らしいのです。かつて共産圏だったある東欧の国では、食料は配給制でした。あるとき旧共産圏のある国で、肉の配給が滞ったことがあり、そのため大規模なデモが起ったことがあります。まさに「肉を食わせろデモ」と言っていいでしょう。ちなみにその他の食料で、カロリー的にはまったく問題なかったにも関わらずです。アフリカやアマゾンの部族でもしばらく肉が手に入らないと、女たちが男たちにハッパをかけたり「肉を持ってこないとセックスはお預け」と脅したりして、男たちを狩りへと追い立てるといいます。そして肉が手に入ったら、たちまち祝宴がはじまったといいますから、やはり肉は特別な食べ物と言えるでしょう。ところが日本の江戸時代では肉をほとんど食べなくなったにもかかわらず、ミートハンガー(肉の飢え)現象はおきませんでした。その理由としては、日本には仏教伝来のときから『聖なる米、なぜ日本人に『肉の飢え』が起らなかったのか?78     

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