おもしろコラム 巨椋 修
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物たちは、確実に日本の、あるいは世界の食文化を変えつつあるのです。  大量生産の工場製品食品は、いってみれば食文化のグローバリゼーション、地方や民族や国境を越えて、食品の均一化をなすものです。日本ならば、どこの県のコンビニにいっても、同じ商品の食べ物を食べることができるということです。いまから料理を食べることができました。しかしいまでは、東北の人が九州に旅をしても、郷土料理のお店にでもはいらない限り、同じ食品を食べることが多くなりました。私が以前、北海道に旅をしたとき、地元の人のご招待だったのですが、連れていっていただいた料理店は、なんと北海道なのに沖縄料理店でした。北海道の味を……、と思っていたのですが、北海道の人にとってそれは当たり前で、沖縄料理の方が、北海道の人にとってご馳走だったのかも知れません。北陸に全国的にも有名なお医者さんがいて、友人なのですが、北陸にいったとき「最近、近所におもしろいお店が出来てさ」と、連れて行ってもらったお店が……、なんと東京の私の自宅近所にあるお店のチェーン店だったこともあります。つまり地方地方の食文化の破壊につながるのではないか? しておりません。文化とは変化するものであり、現代という急速に時代が変化している時代であっても、その土地のという意見もあります。しかし私は、それほど心配を工場製品食品は食文化の個性を殺す?86      50年前であれば、ある地方の人が別の地方に旅をしたとき、生まれ故郷とまったく違う味噌汁など、その土地土地の

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