おもしろコラム 巨椋 修
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幕末の下級武士は何を食べていたのか?私はそんな時代に生まれたことを幸せにすら感じているのです。20年後、私たちはきっといまと違う、しかしいまの伝統を引き継いだ食べ物を食べて楽しんでいるのでしょう。       日本人にとって『心の故郷』といえる時代は何時代でしょう? かといって飛鳥時代や平安時代だと遠すぎるかも知れません。 『時代劇』と我々がいう場合、そのほとんどが江戸時代を指します。明治時代も、昔でありいまと全然違う時代なのですから時代劇といってもいいはずなのですが、明治時代のドラマを時代劇というのは、何か違和感があります。やはり我々日本人にとって、心の故郷といえる時代は江戸時代なのではないでしょうか?270年続いた江戸時代は長く、それぞれの時代背景があるのですが、幕末に生きた、そして江戸に滞在した地方の下級武士の食生活にスポットを当てたいと思います。主人公は酒井伴四郎、30石取りの紀州藩士です。伴四郎は筆マメであったらしく176日の紀州藩江戸屋敷での生活を日記に残し、貴重な資料となっています。戦前や明治時代では最近過ぎるように思えます。地方下級武士の江戸滞在記87     

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