おもしろコラム 巨椋 修
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問が浮かびました。「乾麺なら、そうめんもあれば乾燥うどんもあったはず。百福さんはなぜそちらの方向にいかなかったのだろう?」おそらく百福さんはより簡単に提供する食品を作りたかったのではと推測します。後に登場するインスタントラーメンの袋めんは、麺と粉末スープを別にしたものが誕生しますが、それは鍋で煮なければならないもの。それなら、そうめんなどの乾麺と同じ。しかし百福さんが考えたのは、鍋にいれて煮なくていい麺、お湯を注ぐだけで完成してしまう麺。まさにインスタント! まさに即席!これが百福さんが目指したものであったのでしょう。そして昭和33年8月25日。ついに世界初のインスタントラーメン『チキンラーメン』が完成します。このお湯をそそぐだけで完成してしまうラーメンがなければ、後に百福さんが発明する世界初のカップめんである『カップヌードル』もできなかったに違いありません。  昭和33年(1958年)8月、ついに世界初のインスタントラーメンである『チキンラーメン』が発売されます。一袋35円というお値段でした。さてこの値段、昭和33年ではどんなものが買えたのでしょう? ため、当時の物価と現在の物価を比べてみましょう。国鉄初乗り10円(JR山手線140円)、銭湯の入浴料16円(東京都460円)、ざるそば25円(600~1000円)、ラーメン35円(700円)……そう、当時チキンラーメンはお店で食べるラーメンと同じ値段だったのです。現代の感覚では高すぎると感じるこわかりやすくする当時、チキンラーメンの値段はお店のラーメンと一緒96       

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