TEBRA通信11月号
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 ボッシュは言わずと知れた、世界で最も有名な自動車部品サプライヤーである。自動車の電子制御部品の開発にも定評があり、身近なところでは、今や自動車の制御に欠かせないCAN通信の規格は同社が開発したものである。同社は、カメラセンサー、ミリ波レーダーセンサーなどADASに必要なセンサーもカーメーカーに供給している。そこで、カーメーカーに近い同社に昨今のADAS用センサー校正に関する問題や疑問点などについて話を聞いた。 AEBSやレーンキープシステムなど、自動の緊急制動や車線維持システムは車両の進行方向と密接な関係を持っている。そのため、ADAS用センサーはスラストアングルを基準にしたほうが良いのではないかという質問を受けることがある。 当社としてはカーメーカーの修理書に記載されている通りに校正作業をするのが前提という一貫した立場である。それを踏まえてこの質問に答えると、意外だと受け取られるかもしれないが、ADAS用センサーの基準について、スラストアングルでも車体中心線でも、どちらでも問題はないと考えている。 理由は、正しく修理されていることを前提にした場合、車体中心線とスラストアングルに差が生じることはほぼないからだ。もちろん、調整機構がある車両ならば、スラストアングルを0°(基本は0°を目指し、それに近い誤差範囲に収める)に調整は可能である。一方、ボデー外板測定からのボデー中心の設定は作業者の熟練度に依存する可能性が高い。しかし、車体中心線で重要な点は、複数以上の前方監視センサーが装備されている場合の、各センサーの同一線上にエイミングボードを設置することである。 つまり、車体があるべき状態(ホイールアライメントの状態も含め)に正しく修理されていれば、基準がスラストアングルでも車体中心線でも問題はない。どちらかが優116※インタビューを元にプロトリオスが作成オートモーティブアフターマーケット事業部アフターマーケット事業部テクニカルサービス&サポート部ゼネラル・マネージャー里 廉太郎氏オートモーティブアフターマーケット事業部オートモーティブサービスソリューション部プロダクトマーケティングGrp.マネージャー佐藤 公太朗氏ミリ波レーダーカメラスラストライン車体中心線カメラセンサーやミリ波レーダーは、車両の進行方向に対して働くべきではないかという疑問を抱く技術者は少なくない。そうなると、リヤトー(赤囲み部)の左右差をできるだけ少なくアライメントを調整する必要が出てくるが……Part3サプライヤーインタビューボッシュが語るエイミングの世界センサーはスラストアングルに合わせるべきか?

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