TEBRA通信11月号
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PART1PART2PART37※4 「噛み込んだ傷があるか否か」や「オーロラマークが見えるか否か」は、目視で判別するしかないだろう※5 もちろん、ツヤを色で表示するためには、積分球を利用した正反射光を含まないタイプ(物体そのものが持つ色を測定する)でなく、ツヤを含めて測る正反射光を考慮した測色計が必要となる※6 「絶対音感」に対する「絶対色感」が存在しないのは、知覚の本質にかかわる問題かも知れない※7 「感覚や知覚」という言葉は世界観、研究分野、立場、学説によって、定義が難しい言葉である。様々な文献でも、著者によって「感覚」の意味は随分異なる。ちなみに私は、知覚は人が判断した同定結果、視感や感覚はその程度に至らない漠然とした認知結果を言うこととして使用するすが、可能であるならば、塗膜と同一の基準で管理できることが理想です。 従来、研磨後の評価、すなわち「きれいか否か」、「ツヤがあるかどうか」は人が目視で判断するしかありませんでした(※4)が、測色が可能になれば、研磨後のツヤを色と色差で評価・管理することができます。むしろ、ツヤを除いた抽象的な色よりも、ツヤを含んだ色のほうが実在性があると言えます。通常の測色は「その素材の表面が持っていた自然のツヤを含んだ色を測っていた(積分球を用いない場合)」だけで、研磨後の測色はいわば「研磨作業が作り出した人造のツヤを含んだ色を測ること」と言っても誤りではないでしょう。ツヤが測色できたと言えるための判断基準 どのような証拠をもって「ツヤが測色できた(※5)」とするかについては、困難な問題があります。第一に、研磨後の「見た色(ツヤを含んだ)と測った色」とが一致しているかどうかが判別できないことです。 私たちは、一部の人の持つ音感(音程を音名・階名で判断できる能力)と同様に、厳密に「この色は何色か(※6)」を判別・同定することができないため、測色したツヤと知覚(※7)との一致を判断できないことになります。研磨前と後との測色値が変わったとしても、それが何色から何色に変化したかを言い当てることができない。すなわち、変化した測色結果と知覚との一致が証明できないため、ツヤが測色できたと言えないのです。 もう1つの問題点は、「視覚がやっと同定し得るようなかすかな色の違いを測色計が測れるのか?」ということです。研磨仕上げをしたところで、色が白から黒へ、赤から緑へ、青から黄へといったように劇的に変わることはあり得ません。磨く対象が決められているので、研磨仕上げをすることで「わずかに黒くなった」程度の変化しか期待できず、そのためそのわずかな差が測色できるかどうかが問題となります。 以上の点を踏まえた上で、視覚と測色結果との一致を確かめる方法、判断基準を考えなければなりません。つまり、ツヤが測色でき、視覚と一致すると言えるためには、「2つの研磨結果を比較し、よりツヤがあるものを程度の違いをもって言い当てた結果が測色結果(色差)と一致すれば、ツヤが測色できたと言って良いのではないか」と考えます。PART1 研磨した塗面のツヤを測色する

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