TEBRA通信11月号
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1 きれいについて30PART2 塗膜研磨の体系的考察 ある結果を実現しようとすると、その結果を招来できる方法に沿って行動しなければなりません。同様に、研磨作業で塗膜をきれいに磨くためには、目標である「きれい」の状態を理解し、「きれい」に磨ける方法を発見して、その通りに実行することが必要です。 そこでまず、目標となる塗膜が「きれい」とはどのような状態を指すのかを明らかにする必要があります。私たちは、塗装の不具合(ブツやタレ、肌の不一致)を研磨布紙で整えてできたペーパー目を消すためにバフ研磨します。ペーパー目を研磨処理して消し、何工程か磨き終わって仕上げ研磨した後に、「きれいになった」と感じます。この心の中で起こった感情は、塗膜のどのような変化によってもたらされたのか、「きれいとは何か?」を考察して到達点を示し、それがどのようにしたら実現できるかを考えなければなりません。 講習会などで作業者に「バフ研磨処理の後、どのような状態に仕上がった時にきれいと感じますか?」と質問すると、多くの人が「ツヤが良くなった時=白ボケしていない状態」、「オーロラマークが発生していない時」、「噛み込んだ傷がない状態」、「肌の質感が新車塗膜とそろっていること」などと答えます。 PART1は、「きれい」の実体である「ツヤ」を定量的に表そうとする試みの1つでした。しかし、このような「きれい」の定義が、研磨作業の目標としての「きれいさ」を導き出す方法を提供するものでないことは明らかです。この定義は実体を説明し、研磨結果を評価するものではありますが、「色ツヤを良好にするために、明度を低くする磨き方」はどのようにしたら良いか? には答えてくれません。

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