・文:薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵
・/絵:吉田たつちか
・発行:2021年5月
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今回は、私たちの体を船に例えてお話を進めて行きたいと思います。実は、私たちは誰もが皆、重~い石ころを山ほど船に積んで長い航海をしています。
石ころとは、仕事、責任感、頑張らねばならない気持ち、我慢、意固地、焦り、不安、無理な事などです。最初は快調だったのに段々と速度が落ちて、舵も効かなくなって来ました。ある日気がついたら、船にヒビが入って浸水しかかっています。(体で言うと発病です)これは大変だ!と急いで船を止めました。
こんな時、私たちはまず何をどうしますか?
1、ヒビの箇所を応急処置します(体で言えば、病院で治療してもらいます)
2、船の持っている能力を考え、余裕を持った積載量や日程を考え直す。また全体的な耐久性を保つメンテナンスを維持する。(体で言うとこれが養生です。食事や漢方で体質改善して元から元気にしてゆくのがここです)
そして再び船を出しましたが、何かを忘れていませんか?治療も養生もして、万全のはずなのに何だかちっとも良くならないし、船が思うように進まない?さてこんな時、あなたは積んでいる石ころが多すぎる事に気がつけるでしょうか?
船にヒビが入った原因は重量オーバーだったのに、石ころを下ろさずに航海に出る事は、治療と養生が終わって元の生活に戻る事と同じです。
船の不具合は体で言うと疲れる、しんどいなどの症状です。お願いだからご主人様、石ころに気がついてよ!ヤバいよ!ヤバいよ!って叫んでいる声なんです。だから、それに気がついて石ころを下ろしてあげてください。
お医者さんはヒビを応急処置する、私たち漢方養生家は養生の仕方をお手伝いしますが、貴方の船の石ころは、貴方にしか見えないので貴方自身の手で下ろすしかないのです。
そんな事言っても仕事は辞められない、責任があるし弱音は吐けないよ!って声が聞こえてきましたが、船が沈没しかかっているときに、命より大切な仕事や責任があるのかなぁ? 船を安全に航海させようと思ったら、余分な石ころを下ろして軽くする工夫が優先では?と私は思います。重荷にならないよう船を軽くして漕ぎ出してください。そして航海中は船を見廻りながら、体の声を聴くことを忘れないでくださいね。
(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵)2021-05