おもしろコラム1月号2024
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王女がいました。エウロパを一目みた大神ゼウスは、またいつもの悪い癖で、どうしてもエウロパを自分のものにしたいと思いました。そこでゼウスは、自分の姿を牛に変身させ、エウロパに近づきました。エウロパはその牛の、獣とは思えない清潔さや澄んだ瞳に心を惹かれました。そしてエウロパは、侍女たちが止めるのも聞かずに、その牛に飛び乗りました。そのとたん、その牛はエウロパを乗せて海に飛び込みました。海の底に沈むと、牛はゼウスに姿を変えました。その美しい姿を見て、エウロパもまた、ゼウスに恋をしました。やがて2人はクレタ島にたどり着き、そこで暮らし始めました。子どもにも恵まれました。そうしてゼウスは、2人が切り拓いた新しいこの土地に、愛する妻エウロパの名をつけ、「ヨーロッパ」と呼ぶことにしました。その後ゼウスは、エウロパに幸福をもたらしたおうしの姿を、星座として空に上げ、それが現在のおうし座だと言われています。ゼウスとエウロパとのあいだには、3人の息子が生まれました。長男のミノスはのちにクレタ島の王になり、次男のラダマンテュスは公正な立法者になりました。そして三男のサルペドーンは、リュキアという国を創りその王となり、ゼウスの力を借りて3百年にわたってその国を治めたと言われています。     (コラムニスト 気象予報士 チャーリー絵:そねたあゆみ)201601/-  1月号-11

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