おもしろコラム1月号2024
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しなどの残酷な措置が必要ですが、同胞には、どのような抵抗があろう    1月号-134  とも、「寛容」というものを忘れてはならず、ローマ人の歴史は、内戦においての寛容というものの重要性を、見事なまでに我々に教えてくれています。ローマ時代における最大のスーパー・スター、ユリウス・カエサル(シーザー)は、どれほどに抵抗が激しかろうと、戦後はすべてを忘れたかのように、敗者に対して恐ろしいまでに寛容でした。それは、ある意味、当然のことで、内戦が終わったら、元の通り、皆、同じローマ人として暮らしていかねばならないわけですから、自分が戦後、国をまとめていく立場に立つことを考えたならば、妙な遺恨を残してしまっては、逆に統治の妨げになるわけで・・・。となれば、寛容というものが、内戦を戦い抜く上においては、結果的には、もっとも有効にして、もっとも効果的、もっとも安上がりな政策となってくるわけです。この点では、現代の旧ユーゴスラビア紛争の指導者の一人であったミロシェビッチ氏が、元々、分離独立を許さないと言うことで内戦をスタートさせたはずなのにエスニック・クレンジング(民族浄化)などという一番愚かな手段を用いてしまったことを思えば一番わかりやすいでしょうか。    

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