おもしろコラム1月号2024
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             関西大学が研究開発したタコの吸盤を模した真空グリッパが話題になっている。海に潜ってタコを捕まえたのはいいが、手に巻きついて離すのに往生したことがある。また、韓国釜山の魚市場で、買ったばかりの小さいタコをその場で調理してもらい、生で食べたことがあったが、その時も口の中でタコの足が吸い付いて食べづらかった思い出がある。タコの吸盤機構は吸盤と漏斗部とで構成されており、まず漏斗部の筋肉を使い漏斗部が対象物に張り付き、密閉した空間ができたところで吸盤の筋肉を使い吸盤内部の空間を広げ負圧を発生させ、外部との大きな差圧により高い吸着力を実現していているのだという。この原理を真似て、薄膜状の吸盤をもつグリッパを作った。吸盤内部は真空ポンプへとつながっており,吸盤内部の圧力を下げることができる。そのため、吸盤を把持対象物に密着させ吸盤内部の圧力を下げると,大気圧との圧力差により対象物を把持できるというもの。これの何がすごいかというと、一般的な真空吸着と異なり吸盤内部の排気系と大気が膜によって遮断されているためリーク(漏れ)がないので、吸盤が対象物に接触していなくても、全ての吸盤内部の圧力を下げることができるので、凹凸のある対象物を把持できる。さらに吸脱着の制御が1つの真空計と1つのバルブの切り替えだけで済むので装置の設計が簡単。しかも、排気系が大気とつながっていないので、ごみが排気系に詰まることによる吸着力低下も無いのだという。タコの吸盤がロボットを進化させる?    1月号-156  

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